岡山県6次産業化サポートセンター - 農林漁業者のみなさん、商品開発・販売の仕組みづくりを応援します!

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瀬戸内市「株式会社 一文字」

 中世の商都であり日本刀の聖地でもある備前福岡(瀬戸内市長船町)でうどん店を営む「一文字うどん」さん。1983年セルフうどん店として開業。約15年前からセルフとオーダーメニューの二本立てで営業しています。多店舗展開の道を選ばず、早くから垂直展開を追及。自ら小麦を栽培し自前の石臼で製粉した小麦粉で作ったうどんを提供しています。その他、冷凍食品製造や小麦粉の販売等も手掛け、近年「五穀合鴨農法」による「五穀鴨」(商標登録済み)の販売にも力を入れています。「名刀『福岡一文字』の『一文字』を名乗る以上、この地をより良くし、食文化の発展にも寄与したい」と、「地産地消」「地育地食」も牽引されている代表の大倉さんにお話をお聞きしました。

 

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■うどん屋というステージがあったからこそ「地うどん」という発想が生まれた

 父が開業した当時から「安い・早い・うまい」の地域繁盛店でしたが、東京から店を継ぐためUターンした時、都会では味わえない農的環境でうどん屋を営みながらスローライフを送るつもりだったのに、記憶にあった田舎風景は様変わり、後継者不足で農家に元気がないことに愕然としました。そこで、うどん屋という場を活かし農業と食を結びつけ、地域の農業や経済の活性化モデルケースになろうと考えました。そして実家の田んぼで野菜やお米を作り、自分で作ったものをお客さまに提供することができるようになり、その自負が芽生え出した頃「でも小麦は輸入なんでしょ」という東京の友人の一言に衝撃を受けました。
 「国産小麦はグルテン不足。コシがあるうどんなんて作れないの!」と反発したものの(でも…うどんは日本の伝統庶民食。それなのに故郷のうどんが輸入小麦でいいのか…)と苦悶。そして「地元の小麦を使った『地うどん』を作る」という、うどん業界では不可能と言われていた道に突き進むことにしました。小麦粉の研究で東奔西走し、うどんに適した「しらさぎ小麦」とであい、栽培をスタート。しかし、収穫はしたものの、昔この辺りにあった製粉所が輸入小麦に押されて農家が小麦を作らなくなったためすべて廃業。困り果てたあげく石臼製粉機購入を決め、自家製粉を始めました。
 しかし、石臼で挽くと毎回違う粉ができてしまい、「来るたびにうどんが違う!」と言われ、研究を重ねること約13年。今は特徴のある地うどんでありながら、なめらかでコシのあるうどんを安定供給することができています。




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■石臼メーカーの協力により、粉の特性を客観視

 同じように石臼で挽いても日によって粉の状態が違う。それは“石臼の機嫌”とあきらめていましたが、6次産業化認定を受けるにあたり、石臼メーカーの協力を得ながら、徹底的に挽き方と粉の相関性を研究しました。挽き方を変えるだけで、硬さ、色、食感、風味、すべてがまったく違う種類のうどんになりますが、どのように挽けばどのような粉になり、そしてどのようなうどんになるかを「見える化」し理論付けができ、どのようにブレンドすれば“求めるうどん”になるのかが明確になったことが最大のメリットです。




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■一文字うどんのウリを最大限に活かしたメニューが誕生

 挽き立て小麦の風味が楽しめる「うどん」、材料である小麦が育つ畑で元気に育った「鴨」、代々伝わる厳選された天然素材を使った「うどんだし」、これらを見事にかけあわせ「鴨鍋=飲む親父の鍋」ではなく家族団欒でおいしく食べてもらえる「鴨鍋うどん」のメニュー提案をいただき、お店で提供しています。「最後の一滴まで残したくない」と多くの方に喜ばれています。




■自分で作った食べ物で“人”を“良”くしたい

 農業とうどん屋を掛け持つのは本当に大変なことでどちらかが中途半端になってしまいがちです。それでもこのスタイルで頑張ることができるのは、主食を生産しそれを加工しお客さまに直接食べていただくことが地方が生きのびて持続発展するために必要ですし、自分で作った食べ物で“人”を“良”くしたいからです。
 6次産業化の認定は自身のブランド化のためだけではないと私は思っています。認定されることによって長年かけて培ったノウハウや心意気を受け継いでもらえる賛同者が増える!それがそれぞれの地域での持続性の高い発展につながる!と確信し、そうあって欲しいと願っています。

 小麦栽培では日本初の完全無農薬合鴨農法ができるようになったのも、石臼挽きの研究に没頭できたのも、全て自分の志に共感してくれる家族の支えがあったからこそです。今は安心して息子(剛生さん)に店を任せられるので新商品開発なども成功しています。これからも地域農業の発展と食文化発展のため、そして全国各地で「地うどん屋」(自分で育てた小麦で作ったうどんを提供するうどん屋)が生まれることを願い、その先駆者として頑張りたいと思っています。

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●「一文字うどん」ホームページはこちら